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重症化の一途をたどるアトピー性皮膚炎
さて、アトピー性皮膚炎の原因については様々な要素が考えられ、必ずしも一律に論じることはできませんが、すでに述べたように大気汚染をはじめとする近年の深刻な環境破壊が「現代型」アトピーの主犯であることは間違いありません。
私が日々接する重症のアトピー患者さんたちの住所が東海道ベルト地帯やその周辺の工業地域に集中している事実からも、このことは容易に推察できます。
「現代型」アトピーの患者さんの体の内部では一体何が起こっているのでしょうか?
私の研究所で測定したところ、アトピー性皮膚炎の患者さんは、健康人と比較すると不飽和脂肪酸が多く、SOD誘導能が低いという結果が出ています。
不飽和脂肪酸は活性酸素と結びついて過酸化脂質となり、血管、臓器、皮膚組織に付着して徐々に生体に障害を与えてしまうのですが、アトピー性皮膚炎の患者さんは、健康人と比較するると不飽和脂肪酸が多く、SOD誘導能が低いという結果が出ています。
不飽和脂肪酸は活性酸素と結びついて過酸化脂質となり、血管、臓器、皮膚組織に付着して徐々に生体に障害を与えてしまうのですが、アトピー性皮膚炎の患者さんの場合は、過酸化脂質が皮膚の最上層の角質層に付着して皮膚の水分機能を奪ってしまっているのです。
それでも、日本人が和食を好み、環境破壊が今ほど深刻化していなかった頃は「乾燥肌」にはなっても不飽和脂肪酸が増え、大気汚染に代表される環境破壊により体内で活性酸素が大量に作られるようになると、もともとSOD誘導能の低いアトピー体質の皮膚はひとたまりもありません。
こうして「現代型」アトピーが増加したのでした。
重症のアトピー性皮膚炎の患者さんでも、高知県土佐清水市にある私の病院に入院すると、たちまち快方に向かいます。
病院での治療もさることながら、当地が大気汚染とはまったく無縁の土地柄であることが治癒力を増しているのです。
また、薬品も細胞の内外で有害な活性酸素を産み出し、さまざまな難病、奇病、膠原病や一般の炎症疾患の原因となっています。
こうしてできた大量の活性酸素は、直接人体に発癌性物質、あるいは細胞障害性物質として作用するのですが、活性酸素は元来非常に強い作用力を持つ半面、作られるとすぐに消滅する性質をもっています。
そこで、この瞬時になくなってしまう活性酸素よりも作用力は強くないが、いつまでも体内に存在し、人体に様々な弊害を及ぼす過酸化脂質という変質した脂が注目されるのです。
活性酸素+脂質→過酸化脂質(不飽和脂肪酸)
この過酸化脂質は、前述のように酸素に脂質類、特に不飽和脂肪酸が反応してできる脂質で尿から排泄されず、表4に示しましたように、組織や臓器の表面や血管内壁、眼球レンズ内壁、皮膚などに付着、浸透し、徐々に組織や臓器の表面や血管壁をいためつけていく脂です。
このようにしてできた細胞障害性のある変質した脂が、アトピー重症化の大きな原因の一つになっています。
2007年07月01日 23:48