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アトピーがぐんぐん良くなる本

アトピーの権威、丹羽靭負先生の著書から、科学的にアトピーに対処するための情報を一部ご紹介します。

フケ化してコチコチになった肌

【症例23】 19歳・男性・岡山市

◎既往歴

生後4ヶ月より乾燥したかゆみのある皮疹が顔、耳、躯幹(胴体)、両肘、両膝屈側部より発生。
皮疹は次第に悪化し、ステロイド外用を行っていました。
小学時代を終わるまでは一進一退の状態でしたが、中学に入ると悪化し、発赤のひどい皮疹が全身に及び、大学病院に入院。
中学3年の時に右目の網膜剥離と白内障を合併。
高校2年の時当院に入院し、軟膏療法を行い軽快し退院しました。
その年に網膜剥離の手術を行う。手術4ヶ月後にアトピー性皮膚炎が再燃し、以後当院に3回入院し改善、退院後悪化を反復し、土佐清水病院に就職しました。

◎来院時所見

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写真のように顔面は赤味の強い瀰漫性の紅斑の上に、結が、糜爛湿潤面がみられ、特に、耳を中心に激しい炎症症状がみられ、長期間ステロイド外用のため血管の拡張もみられました。
首、躯幹(胴体)も落屑を伴う肥厚した瀰漫性の紅斑がみられ、特に四肢全域は写真のように非常に厚い美慢性の苔癬化と非常に深い硬結の強い結節性痒疹が密集して存在していました。

◎治療経過

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SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、市販の2分の1〜3分の1のやや濃度の高いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ね塗り。
入院後約1週間で、写真のように顔面、耳の糜爛面を含む皮疹はほぼ消失し、躯幹の皮疹も2週間目にほぼ改善されました。
四肢の厚い苔癬化と結節性痒疹は治療に抵抗しましたが、写真のように2週間目に軽減し始め、4週間で一部のかゆみを残して退院しました。

アトピーが改善し私の病院に就職

【症例22】 22歳・男性・名古屋市

◎既往歴

生後2ヶ月より乾燥した皮疹が顔面、耳、両肘、両膝屈側部より発生。
学童期までにぜん息も合併し、皮疹は徐々に悪化してきましたが、ステロイドを含む外用で一進一退を続けていました。
小学校時代までは陰部、臀部の皮疹が悪化し、中学時代にはステロイドの外用が効果を発揮し経過良好でした。
高校3年の時、急激に全身に皮疹が悪化し、大学病院に1ヶ月入院、高濃度ステロイドの治療を受けました。
その悪化した状態で皮疹が一進一退し、大学3年でステロイドを中止し、皮疹は一層悪化しました。
翌年当院に入院したのです。

◎来院時所見

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写真のように顔面には赤味の強い紅斑と亀裂のある糜爛面もみられ、躯幹(胴体)は乾燥肥厚した紅斑が瀰漫性に存在し、四肢、足首に非常に厚い乾燥苔癬化した皮疹が認められました。

◎治療経過

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SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、やや濃度の濃いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗りました。
写真のように顔面、躯幹の皮疹は3、4日でほぼ消えてなくなり、四肢の肥厚苔癬化した皮疹も10日目にほぼ改善され退院しました。
退院後低濃度ステロイドとSOD作用物質含有軟膏を持続使用していましたが、1ヶ月後徐々に再燃し、特に顔面露出部の皮疹が悪化、3ヶ月後再入院しました。
本患者は、入院好転、退院再燃を繰り返すため、転地の目的で土佐清水病院に就職し、6ヶ月後にはほぼ軟膏治療の必要がなくなりました。

かゆみの激しいアトピーが改善

【症例21】 34歳・女性・岡山市

◎既往歴

生後2ヶ月より、躯幹(胴体)、両肘、両膝屈側部よりかゆみのある乾燥した皮疹が発生し、徐々に悪化拡大してきましたが、小学校2年の時、はしかにかかり、アトピー性皮膚炎は改善されてきました。
小学校6年より皮疹が再燃し、ステロイド外用などを行い、20歳を過ぎると再びアトピー性皮膚炎は軽減していきました。
30歳の時、ハードな仕事とストレスが続きアトピー性皮膚炎は急激に悪化、顔面を含む全身にかゆみの激しい皮疹が拡大し、ステロイド外用に抵抗、当院に来院してきました。

◎来院時所見

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写真のように顔面全域に乾燥肥厚した紅斑が瀰漫性にみられ、一部に結が、落屑糜爛面もみられました。
また顔面以外は肥厚苔癬化した紅斑が両下肢、手足も含め全身にみられました。

◎治療経過

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SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、市販の2分の1〜3分の1の濃度のやや濃いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に,、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
写真のように1週間後には、首、顔面の皮疹はほぼ消えてなくなり、躯幹(胴体)の皮疹も10日目にほぼ消失し、四肢、手足の肥厚苔癬化した皮疹は若干抵抗しながら軽減し、入院20日後には、写真のようにほぼ改善され退院しました。

全身ボロボロのアトピーが消えた

【症例20】 15歳・男性・三重県松阪市

◎既往歴

満1歳ころから両手首にかゆみのある乾燥した皮疹が発生。
かくことで次第に悪化し、満2歳半で某大学病院に入院。以後高濃度ステロイドを継続使用し、小学校〜高校時代には高濃度ステロイドに抵抗し、皮疹は全身に及び、入・退院を繰り返しました。
一時は激しいかゆみのため、大学病院でステロイドの内服剤も投与されていたほどです。
さらに中学1年生の時は白内障も合併しました。

◎来院時所見

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顔面は紅斑、丘疹に結が、糜爛湿潤面を伴い、2次感染もみられ、躯幹(胴体)は落屑を伴う紅斑が瀰漫性に認められ、四肢、足首は苔癬化の激しい皮疹と硬結の非常に深い結節性痒疹が多数みられました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品、ルイボスを内服させ、市販の2分の1〜3分の1のやや濃度の濃いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
4、5日目に顔、四肢以外の皮疹はほぼ消えてなくなり、ほぼ1週間で顔面の結が、瀰漫湿潤が消失。
四肢、足首の苔癬化した皮疹と深い結節性痒疹は徐々に軽減してきたが、かなり治療に抵抗し、約2週間後、苔癬化した紅斑はほぼ消失しましたが、結節性痒疹は軽減したものの持続し、入院3週間後に足首に若干のかゆみを残したまま退院しました。
退院後も(四肢)足首に入院中の軟膏重層療法を継続し、最燃、悪化を防いでいます。

じゅくじゅくのアトピーが消えた

【症例19】 7歳・男性・東京都文京区

◎既往歴

乳児期よりかゆみのある乾燥した皮疹が躯幹(胴体)、両肘、両膝屈側部にみられ、生後6カ月より(化学繊維の下着をつけだしてから)皮疹が次第に悪化拡大していった。
当初は治療のためにステロイドの高濃度のものを使用していましたが、夏は比較的落ち着き冬悪化するという繰り返しでした。
当院入院前数ヵ月は低濃度ステロイドを使用していました。

◎来院時所見

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躯幹(胴体)には乾燥肥厚した紅斑がみられ、四肢には写真のように貨幣状湿疹の症状を呈し、強く糜爛湿潤した厚い紅斑が多発し、激しいかゆみを訴えていました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させて、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、SOD様作用物質抽出エキスと低濃度ステロイドノワセリン軟膏の上からグリテールパスターを重ねて塗る。
3日目から躯幹(胴体)の紅斑は消えてなくなり始め、5日目には四肢の激しい貨幣状湿疹の皮疹は軽減し、7日目にはほぼ全身の皮疹が消失し、退院しました。

全身の重度のアトピーが消えた

【症例18】 3歳・男性・神戸市

◎既往歴

生後6ヶ月より顔面、耳、両肘、両膝屈側部にかゆみの強い乾燥した皮疹が出現。
次第に悪化し、かつ、全身に拡大していきました。某公立病院で高濃度のステロイド外用を行っていましたが、効果がなく本院に入院。
(本症例はアトピー性皮膚炎患者で社会的な差別などを受けた被害者の代表症例のうちの1人です)

◎来院時所見

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写真にみられるように、顔面に赤味の強い湿潤した紅斑が瀰漫面もみられます。

◎治療経過

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抗生物質を短期間(5日間)併用させて、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度のステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
3日目には顔面、下肢の皮疹を除いて、軽減し始め、6日目には激しい炎症がほぼ消えてなくなり、9日目には写真のように、下肢、顔ともほぼ皮疹は消失し、退院しました。

顔全体のアトピーが消えた

【症例17】 23歳・男性・愛知県高浜市

◎既往歴

乳児期よりかぶれやすい体質でしたが、アトピー性皮膚炎の症状は顕著ではなく、乾燥肌が目立ち、ところどころかゆみのある皮疹が散在する程度で、時々ステロイドの外用を使用する程度でおさまっていました。
高校3年(18歳)の頃から徐々に悪化し始め、19歳で悪化し、大学病院に2ヵ月入院。そこでステロイドを塗りました。当院入院まで(23歳)大学病院よりステロイド軟膏をもらっていました。

◎来院時所見

atopy_52.gif写真のように、顔面全体に瀰漫性に厚い紅斑と一部糜爛面がみられ、特に眼瞼部(まぶた)に炎症症状が激しくありました。
躯幹(胴体)、上腕部に乾燥した紅斑がみられる他、両下肢に非常に硬結(こうけつ)の強い結節性痒疹が密集してみられました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、やや濃度の濃いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
下肢以外は、5〜6日目に皮疹が改善し始め、7〜8日目にはほぼ皮疹が消えてなくなったが、下肢の固い結節性痒疹は治療に抵抗。
それでも2週間目頃から軽快し始め、入院20日後ほぼ消えてなくなり退院しました。

フケ状の肌がきれいになった

【症例16】 16歳・女性・東京都世田谷区

◎既往歴

乳幼児から軽い乾燥肌で、幼稚園の頃からは皮膚科に通院し、ステロイド外用を行って、そのままおさまっていたのですが、当院入院2ヶ月前頃から急激に症状が悪化し、皮膚が落屑して、ボロボロ落ちはじめたのです。

◎来院時所見

atopy_50.gif腰部、臀部に肥厚、苔癬化した紅斑が著しく、その他の躯幹(胴体)、下肢には乾燥肥厚した落屑を伴う紅斑が瀰漫性に認められ、顔面は一面に発赤の強い紅斑、結が、糜爛が著しい。

◎治療経過

atopy_51.gif抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
腰部、臀部、顔面を除き、4・5日で皮疹はほぼ消失し、顔面は1週間後にほぼ皮疹は消失し、12日目に写真のように、顔面の糜爛面と腰部、臀部の苔癬化は完全に消えてなくなり、退院しました。

炎症状態のアトピーが軽快

【症例15】 22歳・女性・神奈川県横浜市

◎既往歴

生後数ヶ月で顔面、耳などに乾燥性の皮疹。次第に両肘、両膝屈側部に乾燥した皮疹が発生したが、高校まではあまり症状が悪化せず、季節の変わり目に悪化しかけるとステロイドの外用で症状が抑えられていました。
高校2年生で、横浜から神戸に転居した頃から、症状が急激に悪化しステロイド外用量が増えたにもかかわらず、皮疹は軽減せず、ステロイドを外用したりして、次第に顔面の皮疹が悪化の一途をたどり、当院に入院しました。

◎来院時所見

atopy_49.gif急性炎症症状の強い赤味の強い紅斑と著しい浸出液と、結が、糜爛がみられ、顔面以外には躯幹(胴体)、四肢などに乾燥した紅斑が認められました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗りました。
躯幹、四肢の皮疹は2、3日で軽減し、顔面の結が、糜爛面も徐々に快方に向かいました。
顔面の紅斑は治療に抵抗し、軟膏重層療法(軟膏を重ねて塗ること)のうち、低濃度ステロイドを高濃度ステロイドに変更し、入院14日目にはほぼ治癒し、退院しました。

この患者さんは写真でおわかりのように、露出部に異常なほど高度な皮疹がみられ、退院後、SOD様作用物質抽出エキスと高濃度のステロイド混合軟膏を続けて塗布していましたが、4、5ヵ月して再燃し、私の外用療法もため、悪化の一途をたどりました。
この患者は症例6、22、23の当院に就職した患者のように空気のきれいな所に転地できず、今回集めました超重傷症例23例中、この患者だけは退院後再燃悪化した唯一の患者となっています。
その後、当院に就職したこの患者は、空気のきれいな環境に加えて厳重な食事の指示を守ったため、徐々に皮疹が軽減し、現在小康状態が保たれています。

赤味や水っぽい斑点状のアトピー

【症例14】 21歳・女性・愛知県豊田市

◎既往歴

乳幼児より、虫に刺されると化膿しやすく、発熱も招いた事が多かったようです。
幼稚園の頃から顔面に紅斑、結がが発生。
当院入院1年前(20歳)より、就職してから、顔の皮疹が悪化し、かつ全身にかゆみの強い乾燥した皮疹が出始めました。

◎来院時所見

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浮種状の紅斑と、強い炎症(潰瘍)の跡を示すケロイド瘢痕状の変化が顔面全体にみられ、顔面以外には、乾燥した紅斑と瀰漫性に認められました。

◎治療経過

SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗りました。
顔面のケロイド瘢痕状の変化を除き、徐々に顔面の赤味や浮腫状の紅斑、それに顔面以外の乾燥性紅斑は軽減し退院したのです。

赤味、糜爛、湿潤面も消えた

【症例13】 3歳・男性・山口県下関市

◎既往歴

満1歳より顔の頬、耳の辺りからかゆみのある皮疹が発生。ステロイドの外用等で治療を行っていましたが次第にステロイドに抵抗し(効果がなくなり)皮疹も悪化、全身に拡大してきました。
当院来院6ヶ月前よりステロイドを中止し、温泉療法等も行ったもののますます悪化し、当院に来院しました。

◎来院時所見

atopy_45.gifatopy_46.jpg顔、四肢、全身に糜爛面のある、非常に急性炎症症状の激しい漿流制丘疹(seropapel−点状に小さく盛り上がった皮疹を丘疹といい、その丘疹が水っぽい状態)が融合し合ったり、赤味の強い紅斑が盛り上がり、激症の皮膚炎を呈していました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させて、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させて、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏にアズノールを重ねて塗りました。
4日後、顔以外の急性症状が消褪(消えてなくなる)したところで、顔以外はズノールの重層をグリテールパスターの重層に変え、7日後には、赤味も、糜爛、湿潤面も完全に消えてなくなり、12日目に軽快、退院したのです。

かゆいかゆいアトピーが消えた

【症例12】 12歳・男性・愛知県江南市

◎既往歴

乳児期より、顔、耳にかゆみのある乾燥した皮疹が発生。
2〜3歳頃より全身に皮疹が拡大し、小学校へ行き出して、ますます悪化し、全身のかゆみの激しい、乾燥肥厚した皮疹がステロイド外用等にも抵抗していました。
当院入院1ヶ月前、販売業者にすすめられ,他の薬を外用したところ、顔面を中心にさらに悪化し、土佐清水病院に入院しました。

◎来院時所見

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顔面、首が糜爛、湿潤し、潰瘍形成もみられ、その他全身に肥厚した紅斑が彌慢性に存在し、一部糜爛面が認められました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させて、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗りました。
4〜5日で顔、首以外の肥厚した紅斑と一部の糜爛面は軽快しましたが、顔、首の病巣の改善に日時を要し、10日目頃より、湿潤面が乾燥し、約2週間で潰瘍が修復し、16日で軽快退院しました。

顔全体の化膿したアトピーが治癒

【症例11】 12歳・男性・広島県神辺町

◎既往歴

満1歳頃より、全身にかゆみの強い乾燥した皮疹があり、ステロイド外用を行っていましたが、好転せず、湿潤を伴った病巣と強いかゆみが続いていました。
ステロイドは当院入院2ヶ月前まで続けていましたが、ステロイド外用を中止。急激に悪化し始め、そこへ他の薬を使用し、顔全体が糜爛湿潤し、ひどい状態となり、当院へ入院しました。

◎来院時所見

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ほぼ顔面全域と一部首に非常に糜爛、湿潤した病巣と、その他躯幹(胴体)を始め全身に乾燥、やや肥厚した紅斑がみられました。

◎治療経過

抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品、ルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗りました。
顔以外の紅斑は4〜5日でほぼ軽快し、顔は徐々に糜爛面が乾燥。
10日目にはほぼ湿潤面がみられなくなり、次第に正常な皮膚に回復し、18日目に治癒、退院しました。

結節性痒疹が改善

【症例10】 23歳・男性・愛知県豊田市

◎既往歴

生後6ヶ月頃より全身にかゆみの強い乾燥した皮疹が出始め、中学3年頃より急激に悪化、3年間ステロイド外用を行っていたが、その後ステロイド外用を中止し、漢方、食事療法を行ったものの悪化の一途をたどり当院に入院。

◎来院時所見

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躯幹(胴体)、四肢など全身に固い結節性痒疹が、べったりと一面にみられ、かゆみが激しく、不眠を訴える。

◎治療経過

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SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、やや濃度の濃いステロイド(市販のステロイドの2分の1から3分の1の濃度のもの)にSOD作用食品や抽出エキスを混合したワセリンを塗布し、その上から顔はアズノール、顔以外はグリテールパスターを重層的に塗り、全身をガーゼ、包帯で包み込んで治療を続け、徐々に改善されてきたが、結節性痒疹は非常に固く、皮膚に深く根を持つため消褪せ(軽くなって消えること)には至らず。
26日目にやっと全身の固い皮疹はほぼ治癒し、退院しました。
以後ステロイドは低濃度(市販の3分の1から4分の1)のもに落としたSOD様物質抽出エキス軟膏を塗ってもらい再燃をみていません。

30代の若さがよみがえった

【症例9】 32歳・女性・兵庫県神戸市

◎既往歴

小学校入学までは、乾燥肌でしたが、治療を必要とするほどではありませんでした。
ところが小学校に入学して以来かゆみが出始め、中学に入った頃は徐々に悪化し、かゆみとともに乾燥肌が悪化。
高校の頃には、全身にかゆみの激しい落屑の強い皮疹が出現し、ステロイドを外用するようになり、3年前までずっと塗り続けました。

◎来院時所見

顔面、胸にかけ、非常に長期のステロイド外用による皮膚萎縮がはっきりと現れ老人にみられるような大きな皺が多く、皮膚の老化現象が著しい。
このステロイド外用による皮膚の萎縮以外にも全身にかゆみの強い肥厚苔乾燥した皮疹が瀰漫性にみられました。

◎治療経過

SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度シテロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗りました。
10日目には、ステロイド外用によって生じていた顔〜首の皮膚萎縮の皺はほとんど消失し、アトピーの肥厚した全身の皮疹もほぼ軽減し、皮膚は30歳の若さに回復し、退院しました。

強烈な皮膚萎縮が正常肌に

【症例8】 29歳・女性・福岡県行橋市

◎既往歴

乳児期より顔などにかゆみのある皮疹。
次第に乾燥した発疹が全身に増加し、小学校では、アトピー性皮膚炎は小学校〜中学校ではステロイド外用(マイザー)で下腹部のみ発疹がみられ、16歳で白内障にかかり、ぜん息が軽減した20歳頃アトピー性皮膚炎が悪化。
ステロイドの外用、さらに内服までして、皮膚炎を抑えていました。
その後、食事療法をステロイドの外用に併用したり、ステロイド外用のみに頼ったりしていましたが、25歳で白内障の手術をし、20歳前後より約9年間、ステロイド外用(一時的に内服も併用)を、顔面を含む全身に強力に使用していました。そして、当院受診4ヶ月前にステロイドは中止していました。

◎来院時所見

atopy_35.gifアトピー性皮膚炎の皮疹よりも。長期にわたる強力なステロイド外用のため、顔面の皮膚萎縮が高度で(一部眼瞼部(まぶた)内外側の上下にアトピー性皮膚炎による結が、糜爛がみられるが、それ以外は)血管が皮膚表面に浮き出て皮膚が著しく薄くなっていました。

◎治療経過

atopy_36.gif抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、主に顔に低濃度(3ぶんの1から4分の1)ステロイドTOSOD様物質エキス含有ワセリン軟膏を塗り、ガーゼで包んだところ、皮膚の萎縮は著しく改善され、浮いて出ていた血管も消えており、正常皮膚に戻って、入院10日目に退院しました。

顔を中心にアトピーが爆発

【症例7】 23歳・女性・千葉県習志野市

◎既往歴

乳児期より、全身にかゆみのある皮疹。
徐々に乾燥した皮疹が増加してきたのを十有余年ずっとステロイド外用でなんとか悪化をしのいでいました。
22歳でステロイド外用の恐ろしさに気づき中止。
顔を中心に皮疹が爆発して,半年して当院に入院しました。

◎来院時所見

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全身にかゆみの激しい乾燥した紅斑が瀰漫性にみられ、特に顔〜首、項にかけ、皮疹の炎症が激しく、落屑と糜爛がみられました。

◎治療経過

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抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SODエキス含有軟膏にアズノールを重ねて塗り。
徐々に快方に向かい,9日目にほぼ皮疹も消えてなくなりました。

肥厚したアトピーが完治

【症例6】 20歳・男性・奈良県生駒市

◎既往歴

乳児期より、顔面、両肘、両膝屈側部に乾燥したかゆみのある皮疹が出て、年齢とともに次第に拡大悪化。
ステロイド外用を含むあらゆる治療法を行いましたが、次第に治療の効果がなくなり、悪化への反復が繰り返されました。

◎来院時所見

atopy_29.gif全身にかゆみの激しい乾燥肥厚した紅斑がはっきりみられ、特に両前腕〜手、両下肢に肥厚苔癬化した一見象の皮膚を思わせるような皮疹が一面にみられました。

◎治療経過

atopy_30.gifSOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、やや濃度の濃いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
皮疹は徐々に軽減し、2週間ご退院しましたが、奈良県生駒市の自宅に戻ると1〜2ヶ月で再燃し、3度入退院を繰り返しました。
この青年は、初めて私の病院(土佐清水病院)の事務員として就職しました。
就職当初は、しばらく濃度の濃いステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノ−ル、顔面以外はグリテールパスターの重ね塗りを行い、軽減して、3分の1〜4分の1の濃度のステロイドとSOD様作用物質エキスの軟膏のみを自分で塗布していましたが、就職6ヶ月で、下肢の苔癬化した象にような皮膚も正常に戻り、まったく治療の必要がなくなり、現在就職2年半を経過しますが再燃の傾向もみられません。

フケ、コケ状の皮膚が若返った

【症例5】 57歳・女性・大阪府富田林市

◎既往歴

15歳より初めて両肘、両膝屈側部に乾燥したかゆみのある皮疹出現。
ステロイド外用を行っていましたが徐々に悪化し、17歳で顔面の皮疹も悪化。
18歳の高校卒業式には出席できなかったという。
20歳でステロイド1〜3錠10日間内服し、28歳で右白内障の手術を行いさらに20年間ステロイドを内服。
48歳では左眼白内障が判明。
そこで、H病院に入院しましたが、皮疹の悪化は軽減せず、右眼失明のため、角膜手術を行い角膜生着の目的でステロイド内服を再開する。
しかし、角膜の移植は失敗に終わり、来院1ヶ月前にステロイド1錠に減量し、来院時よりステロイド内服を中止しました。

◎来院時所見

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顔面には表面に落屑、結がのある乾燥肥厚した色素沈着の強い紅斑がみられ、顔面以外は首、四肢、躯幹(胴体)に乾燥苔癬化した紅斑が瀰漫性にみられ、特に顔の皮膚の老化が著しい。

◎治療経過

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SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD様エキス含有軟膏に、顔面はズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
徐々に肥厚乾燥した皮疹は改善され、入院12日目には落屑、結がは消えてなくなり、肥厚・苔癬化も軽減し、老化した皮膚も若返り、さらに1週間後軽快退院しました。

脱毛も伴う重症のアトピー

【症例4】 15歳・女性・兵庫県神戸市

◎既往歴

生来乾燥肌でしたが、特記すべき皮疹は存在しませんでした。
11歳より乾燥したかゆみのある皮疹が四肢より出現し、次第に悪化。
ステロイドを外用し、若干軽快しましたが完全に消えてなくなりませんでした。
半年前にステロイドの使用を中止し、非常に悪化。
やや軽快したところで来院。

◎来院時所見

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躯幹(くかん)(胴体)・四肢(両腕に両脚)に肥厚・苔癬化した紅斑が瀰漫性にみられ、顔・首・頭にも乾燥肥厚した紅斑がみられ、頭髪の脱毛もみられました。

◎治療経過

image18.jpgSOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏に、顔面はアズノール、顔面以外はグリテールパスターを重ねて塗る。
皮疹は徐々に軽減し、約10日後、含有ステロイドを3分の1〜4分の1に減量して塗布を続け、2週間後、皮疹はほぼ消失し退院しました。

じゅくじゅくが1週間で消えた

【症例3】 7歳・女性・福岡県春日市

◎既往歴

3歳より、眼瞼部(まぶた)よりかゆみのある紅斑が発生。
以後次第に顔全体、さらに全身に拡大し、ステロイド外用を行うも一進一退。
1年前よりステロイド外用を中止し、さらに悪化しました。

◎来院時所見

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全身に乾燥肥厚したかゆみの激しい紅斑が瀰漫性にみられ、特に顔面〜耳後部にかけ糜爛のある紅斑が著明にみられ、また、肩〜腕にかけ、乾燥肥厚した皮疹が瀰漫性に存在していました。

◎治療経過

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顔面は低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏にアズノールを重ねて塗る。
その他は、低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏グリテールパスターを重ねて塗り、内服は、抗生物質を短期間(5日間)併用させ、SOD様作用食品に仙鶴(せんかく)エキスと抗ヒスタミン剤を投与し、皮疹は急激に改善され、1週間後にはほぼ消えてなくなり退院しました。

全身の紅斑が10日で消えた

【症例2】 18歳・女性・京都府京都市

◎既往歴

14歳の時に両肘、両膝屈側部に乾燥したかゆみの強い紅斑が発生。
次第に全身に及び、途中4ヶ月間ステロイド(ロコイド)を外用したが、症状回復がなく中止。
皮疹は悪化する一方でした。

◎来院時所見

atopy_2.jpg全身に乾燥肥厚した紅斑が瀰漫性にみられ、特に写真のように膝屈側部や肩〜前胸部に皮疹がひどい。

◎治療経過

atopy_3.jpgSOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、全身を低濃度ステロイドSOD作用エキス含有軟膏にグリテールパスターを重ねて塗る。
10日後には一部軽い肥厚を残し、ほぼ皮疹は改善され、含有低濃度ステロイドの濃度を3分の1〜4分の1に減少して軟膏療法を続け、2週間後軽快退院しました。

カチカリの肌がスベスベに

【症例1】19歳・男性・愛知県岡崎市

◎既往歴

2歳の頃より、四肢(両腕と両脚)の好発部位(肘、膝の屈曲側)にかゆみのある皮疹(ひしん)。
以来、アトピーに効果があるとされている薬を薬局で購入し塗り続ける。
幼稚園の頃になると、春先から秋口にかけて悪化し、そのつど、ステロイド外用。小学校6年〜中3年の頃は、アトピー性皮膚炎はあまりひどくなく、ステロイドを薄めた軟膏を塗る。
しかし、気管支ぜん息があり、漢方剤中心の療法に変える。
高校になると、アトピー性皮膚炎が春先から秋口にかけて悪化し、そのつどステロイドを外用。
高3の頃になると次第に悪化し、ステロイドを中止し、健康食品、ビタミン剤に頼り、ますます悪化、私の病院(土佐清水病院)へ入院。

◎来院時所見

p_atopy1.jpg写真のように全身が乾燥した肥厚(ひこう)や苔癬化した紅斑に被われ、特に下肢は象のように厚く色素沈着もみられ、全身のかゆみが著しく不眠を訴えました。
正常値は200以下であるところがIgE11、700、白血病数14,000、好酸素39%と異常な高値を示す。

◎治療経過

SOD様作用食品とルイボスTXを内服させ、全身を低濃度ステロイド、SOD作用エキス含有軟膏にグリテールパスターを重ねて塗る。
皮疹は徐々に改善され苔癬化した紅斑も軽減し、約2週間あとにはほぼ皮疹は消え、退院。
現在もAOAエキス等の軟膏を継続的に使用し、退院後1年半経過するが再燃はみられません。

アトピーに絶望することはない

この章では、私の病院へ来院され治療を受けられた数千名以上のアトピー性皮膚炎の患者のうちから、超重症の症例、23例を取りあげ、治療経過を報告しようと思います。
これらの患者は、あまりにも症状が重かったために、私の治療法では平均すると一週間程度で症状は回復、ないし完治がのぞめるところ、それ以上の期間を要しています。
しかし、以下の報告を読まれればおわかりになるように、従来のアトピー性皮膚炎は決して絶望的な病気ではないことをさまざまな症例から証明していきたいと思います。
なお、症例の所見及び治療経過,症状については、厳密を期すため専門用語を多用しています。
一般の方にはかなり読みにくいと思われますので、最初に用語の説明と図式で皮膚の異常の種類とその進行過程を示すこととします。
以下の症例をお読みになり、アトピー性皮膚炎に対するしっかりとした認識をもっていただきたいと思います。

●皮膚の異常の種類とアトピーの進行過程

皮疹(ひしん)
 一般的に言われる皮膚に出る“ブツブツ”すべてを言います。

丘疹(きゅうしん)
面積のあまりない点状ないし斑点(はんてん)のような“ブツブツ”が皮膚に出ているものを言います。

紅斑(こうはん)
 赤い斑点が一定の面積をもって皮膚の表面に少し盛り上がった状態で出ること。紅斑の“紅”の字は後述しますように、炎症時赤くなってくるため、盛り上がった皮疹が少し“赤味”をもって紅色を示すことが多いためこう呼びます。

肥厚(ひこう)
 前述の丘疹や紅斑が単独、あるいはお互いに融合(結合)しあって、長期にわたって悪化すると、皮疹が大変厚くなります。その厚くなった状態を言います。

苔癬化(たいせんか)
 皮膚の異常の末期的状態で,肥厚よりさらに皮膚が盛り上がってしまい、まるで象の肌のようにカチカチになった状態。

彌慢性(びまんせい)
 “散在性”の逆で(皮疹)が拡がって広い面積を所有していくことを形容した言葉。

湿潤(しつじゅん)
 皮疹の表面が湿ってじゅくじゅくして崩れそうになってくること。

糜爛(びらん)
 前述の“湿潤”の悪化した状態で、皮膚の表面が崩れてじゅくじゅくになり、傷ついて一部化膿した状態。

潰瘍(かいよう)
 前述の糜爛面がもっと深くなり、皮膚が掘れた状態になること。

瘢痕状(はんこんじょう)
 湿潤、糜爛面の存在した後の改善後にみられるもので、傷跡のようになって皮膚が引っ張られる感じになっている状態。

ケロイド
 傷跡の皮が引っ張られただけでなく、その上に汚く盛り上がった状態になったものを言います。

落屑(らくせつ)
 アトピーがひどくなると、皮膚の表面が崩れるものと、皮がむけ、頭にフケのような粉状のものが表面に浮き出るものとがあります。落屑は後者で頭に出ると“フケ”と呼ばれます。

(けつが)
 皮膚がコケ状になった状態。

浮腫状(ふしゅじょう)
 水っぽく腫れあがること。

発赤(はっせき)
 赤味がある状態。炎症の激しさを表します。

漿液性丘疹(しょうえきせいしっしん)
 丘疹が水っぽい状態。炎症が激しく急性期にあることを示します。

結節性痒疹(けつせつせいようしん)
 虫(例えば“ブヨ”)にかまれたように皮膚の表面が盛り上がり、しかも根が深い状態。

硬結(こうけつ)
 皮疹の根が深い状態。

貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)
 貨幣状に丸くなったじめじめした紅斑のこと。

●皮膚の異常とアトピーの進行過程

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はじめに

従来、数ある病気の中ではとかく軽く見られがちだったアトピー性皮膚炎は、ここ十数年数年前から次第にその症状が変化し、患者数の激増、年齢の高齢化をはじめ、学業、勤務への障害など重大な社会問題を投げかけています。

大学病院でステロイド外用を行ったが効果のない全身型アトピー性皮膚炎や、ステロイド外用を嫌い自然回帰に走ったがためかえって症状が悪化するなど、重症の症状を持った状態で私の治療を求めて全国各地から土佐清水病院を訪れる患者さんは、年々増加の一途をたどっています。
あらゆる治療が行われたが、効果がなく非常に重症なために当病院に入院加療した患者さんだけでも、昨年1年間で1000人を超えているのが実情です。

つい数年前までは、このような重症患者さんは、例えば高校生や大学生では激しいかゆみのため極度の不眠で学校を休みがちになり、休学、あるいは退学してしまったとか、サラリーマンではその症状を同僚に見られるのが厭で会社をやめてしまったとか、また年頃の娘さんの場合は汚くなった容姿や皮膚のために、恋愛・結婚を諦め、家に閉じこもってたままになってしまったというケースがよく見受けられました。

平成3、4年度になってからは、さらに事態が進み、具体例を挙げますと、例えば、会社の上司から「会社の勤務(ステンドグラス工房の勤務)が、あなたのアトピー性皮膚炎に悪いのではないか。辞めた方が身のためだよ」と言われ、「考えておきます」と答えると、月末の27日であったにもかかわらず、「今月中に返事を出せ、考える必要もないのではないか」と退職を迫られ退職した例や、また、百貨店の上司からダイレクトに、「醜い皮膚だからお客さんの手前、売り子として不適格である」と言われて、平成5年3月1日に退職。
本年(平成6年)1月土佐清水病院に入院した例。

あるいは、神戸の子供で、ポートアイランドの公園などで遊んでいると、同じ遊んでいる子供の親に「あなたは汚いからうちの子供と遊んでもらったら困る。あっちへ行きなさい」と追い払われたり、神戸労災病院の皮膚科に診察に行くと、同じ待合室の椅子に座っている複数の人々から、「あなたはお化けみたいで気持ち悪いから待合室に入って来るな」と言われ待合室を追い出された例など、深刻な被害・差別が頻繁に起こるようになっているのです。
アトピー性皮膚炎の重症化は、ついに、患者さん個人の悩みの領域を越えて、深刻な社会問題を引き起こすまでに至っています。

一方、この増加・重症化をたどるアトピー性皮膚炎に対する治療方法としては、西洋医学の教育を受けた一般の皮膚科医は、ほとんど例外なく、チューブに入った(チューブに入っていなくてもチューブから容器に入れ替えて)悪名高きステロイドの外用を行うことで皮膚炎を一時的に抑えること以外に対策がないのが現実です。
他方、患者さんの中には、化学薬品の副作用を嫌って自然回帰に熱中し、漢方剤に温泉療法に、あるいは何らかの科学的治療メカニズムの証明されていない、ただ単に高価なだけの健康食品の類に救いを求めて奔走される方も少なくありません。

ステロイド外用を行ったが効果がなかったほどの重症の患者さんが、このような方法で効果を期待できるはずもなく、全身悲惨この上もないような皮膚になって病院を訪れる気の毒な患者さんも非常に多いのです。
私は、過去30年間、アトピー性皮膚炎の治療に携わり、アトピー患者の病態の変化を深く観察し、何千否何万の気の毒な患者さんの治療経験を経て、幾多の試練を克服して、可能な限り副作用のない軟膏の開発に取り組み、かつ私の20年間の生化学の研究所での活性酸素や過酸化脂質“super oxide dismutase(SOD)”(後述)の研究生活を通して、この重症化したアトピー性皮膚炎の原因の究明に努めた結果、やっとここ数年その結論が得られるようになりました。
そして、その原因究明の詳細や新しい治療方針などが、平成5年日本皮膚科学会の機関誌(日皮会誌、103巻、2号、117〜126頁)に掲載された他、国際医学雑誌の中で皮膚科の臨床分野でのベストジャーナルの誉高い[Archives of Dermatologyに正式に認知され、今春(平成6年)に掲載・出版される運びとなりました。

今回皆様に送るこのアトピーの書は、机上の空論では決してありません。
先述の国際医学雑誌の審査員はアメリカで非常に有名なアトピー性皮膚炎の世界的権威の大学教授ですが、私のこの論文に対して、“very intriguing study”(たいへん示唆に富んだ研究)と賛辞を惜しまず、私に向かって次のように述べられました。
「アメリカでも欧州でもアトピー性皮膚炎の重症化が問題になっているが、貴方のように明確な生化学のデータを出した科学的根拠に基づく研究発表は世界最初で非常に貴重であり、我々の頭を悩ましているアトピー性皮膚炎に対する問題点を解決するのに重要な指針を与えてくれた」。

このようにして国際学会誌で発表されることにより、アトピー性皮膚炎についての私の新しい学説は国際的にも正式に認められたものとなったのです。
一見救う道がないかのように見られる現代の奇病=アトピー性皮膚炎に対して、私の30年以上に及ぶ臨床経験と20年間の生化学の研究の成果を踏まえた科学的根拠に基づく現状分析とその原因の解明を行い、科学的に正しい視野のもとに(偏向的な反公害運動にくみすることなく)、全国で悩まれている軽症のアトピー患者はもとより、何万何十万の不幸な重症アトピー患者の方々に、この激増・重症化していくアトピー性皮膚炎の実態を紹介し、悩める多くの患者さん達が勇気を出して根気強く病魔と闘いながら各自の社会生活を歩み、自らに与えられた使命をまっとうされるための一助に本書がならんことを祈って筆を執る次第です。

1994年 4月 丹羽靭負(耕三)